書評

乃南アサ『結婚詐欺師』(新潮文庫、2004年)

結婚詐欺という言葉自体は見聞きしたことがあっても、具体的なことまでは知らなかった。この詐欺に遭ったことを悲嘆して自殺までする人が確かに存在し得る状況は、社会的損失の一つである。 自分自身には縁遠い世界の話しだった、これから結婚する予定のある...
書評

山崎豊子『不毛地帯』(新潮文庫、2009年)

ページ数合計約3,000ページの一大巨編、読むのに約1カ月半かかった。主に行き帰りの通勤電車で読んだ。電車の中が読む映画館のようだった。古くからある有名な本であることは知っていたが、タイトルからして暗いイメージを抱かせるので、とっつきにくい...
書評

池井戸潤『七つの会議』(集英社文庫、2016年)

八角民夫の言った次の言葉は真実だろう。 会社なんてどこも同じだ。期待すれば裏切られる。その代わり、期待しなければ裏切られることもない。 池井戸作品として最初に読んだ『空飛ぶタイヤ』があまりに面白過ぎたので、同じ作家の小説としてこちらも期待し...
ランニング

市街地30キロ走

5月22日の日曜日、市街地の30キロ走。前日の土曜日、走友会の練習日だったが、降雨予報で参加しなかったため、その代わりに翌日の日曜日に一人で市街地走をした。 天気は曇り、気温は26℃、湿気もなく走りやすい気候だった。しかし、結果として、30...
書評

岡部伸『第二次大戦、諜報戦秘史』(PHP新書、2021年)

佐藤優さんが週刊誌で紹介していた内容に興味が湧き読みました。イギリスの公文書館に保存されている歴史的文書をもとに、よく調べられています。書かれていることは、もっともっと、日本国民に知られるべきです。 特に第5章(「ヤルタ密約」をつかんだ日本...
書評

鈴木大介『最貧困女子 』(幻冬舎新書、2014年)

可視化されていないセックスワーカーの現実を知ることになります。本書は、最貧困女子に共通しているのは、3つの障害と3つの無縁と説いています。3つの障害とは、精神障害、発達障害、知的障害。3つの無縁とは、家族の無縁、地域の無縁、制度の無縁です。...
書評

天童荒太『永遠の仔』(幻冬舎文庫、2004年)

20年近く前の本。文庫本化されて書店で大々的に売り出されているのを衝動買いし、部屋に積ん読書状態になっていた当時のベストセラー書です。暗くて重い小説と言ったら著者には失礼かもしれません。「たったひとつの罪が、人々のあいだを行き交ううちに、取...
書評

森永卓郎『庶民は知らないデフレの真実』(角川マガジンズ、2012年)

最寄りの図書館で、目次や内容は見ずに、背表紙のタイトルと著者だけで選んで借りてきた本。生の森卓さんは知りませんが、ラジオや大衆紙で接する限りは極めて庶民派の方。しかし、この本を読んで森卓さんに対する見方が少し変わりました。意外にも、庶民を敵...
書評

桐野夏生『燕は戻ってこない』(集英社、2022年3月)

著者である桐野夏生さんの本は初めてでした。70歳の桐野さんが、スマホのLINEやYouTube、精子検査キットによる動画確認可能なことまで、現代の世の中でどんなことが流行っているのかを詳しく知っていることに少しばかり驚きました。感想を一言で...