書評

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山本有三『路傍の石』

中学校に進めなかったので、丁稚奉公として仕えることになったいせ屋。そこには、中学校に進むのがもっとも似つかわしくなかった同級生の秋太郎がいた。その秋太郎の宿題をすらすらと解いている当たりの描写は痛快だった。 タイトルどおり、道端にある小さな...
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加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(新潮文庫、2016)

横浜の栄光学園の歴史クラブの生徒を対象に語った日本現代史の話しである。少し読みづらい箇所があったが、新たな知識の吸収もできた。著者は、菅元首相が日本学術会議の任命拒否の対象とした東大の教授である。本人はリベラルを志向しているつもりであるよう...
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板倉京『知らないと大損する!定年前後のお金の正解』(ダイヤモンド社、2020年)

題名どおり、定年前後のお金のことを考えた本である。55歳ぐらいまでには読んでおきたい。以下は参考になった事項である。・退職金と確定拠出年金は同時にもらわない。(p.30)・退職金専用定期は、退職時期に限り販売される高金利商品である。(p.4...
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森博嗣『お金の減らし方』(SB新書、2020年)

読後感の第一は、この著者のような性質の人は、決して多くはないであろうということ。珍しい方であり、不思議な方である。理系の学者にして文系小説家、印税で20億円を超える収入があるといい、お金を欲しいと思うことなくじゃぶじゃぶ入ってくる方である。...
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鈴木健夫『ぼくは痴漢じゃない!-冤罪事件643日の記録-』(新潮社、2004年)

痴漢冤罪に巻き込まれたら、人生が狂ってしまうことになることを知る。 そもそも、この本は、周防正行監督の『それでも僕はやっていない』の映画を観てから購入、読んだものである。つくづく、世の中に公平さ、正義はないものだと実感する。この本を読み、刑...
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神樹兵輔『40代から知っておきたいお金の分かれ道』(フォレスト出版、2015年)

著者は、これからの時代、住宅ローンにより持ち家を購入するよりも、賃貸住宅の方が得だと説明している。右肩上がりの経済なら、ローン完済後に投入した金額以上の価額になっていればいいが、右肩下がりの経済では低下していく価値にローンを支払っているよう...
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児玉博『堕ちたバンカー: 國重惇史の告白』(小学館、2021年)

この人の女性問題は凄まじい。Facebookを見たところ、「役人に女性を献上してきた」とまで記されている。ダブル不倫で生まれてきた子供は、自我を認識したとき、ダブル不倫した親から生まれたということをどのように受け止めるのだろう。 ネット上を...
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会田雄次『アーロン収容所』(中央公論新社、改版2018年)

イギリス人について、伝統と格式を有し、近代世界に対して支配権を確立してきた国の国民であるとして、敬意を払うべき対象であると、漠然とまた無信奉に思ってきたが、こうした考えを覆させる本であった。イギリス人女兵士が捕虜となった日本人を人間ではなく...
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宮部みゆき『荒神』(新潮文庫、2017年)

登場人物が多かったり、また同一人物について複数の名前があったりするため、読み進みにくかった。「ソロモンの偽証」を書いたのと同じ人とは思えないぐらいだった。 「つちのみかど」は、上橋菜穂子のファンタジー小説、守り人シリーズを読みながら想像した...
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関岡英之『拒否できない日本』(文春新書、2004年)

約20年も前の本である。読むことにしたきっかけは、堤未果『株式会社アメリカの日本解体計画』を読み、日本のビジネス関係の法律改正に、米国からの「年次改革要望書」による要望が色濃く反映されてきた歴史があることを知ったからである。年次改革要望書自...