部屋の片隅で積読状態になっていた本です。初版発行が1996年なので、かれこれ30年近く前の本を今になって読んでいる状態です。ちなみに、ウィキペディアによると、映画『おくりびと』の原作の位置付けにはなっていないそうです。
この本で読み応えがあったのは、全部で第1章から第3章までのうち、第1章でした。納棺夫がどんな仕事をしているのか、一般人には想像できないことを自らの日記をもとに分かるように説明しています。そして、もっとも印象深いのが、かつて付き合っていた彼女の父親の納棺に携わることになったことをきっかけとして、思想が一変したという部分です。なぜなら、その彼女からは付き合っていた当時、しきりにその父親に会ってくれるように懇願されていたににもかかわらず、それをせずにいつのまにか別れ離れになっていたとのこと。その父親の遺体の湯灌作業中に出る汗を必死に拭ってくれていたのがまさにその彼女であっというところがハイライトな部分です。
第3章は、仏教に通じている人なら理解も早いと思いますが、仏教に通じていない人にとってはあまり面白くないかもしれません。この章で言いたいことは、親鸞の説く不可思議光如来のことです。
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