雑誌「PRESIDENT」で明治大学教授の斎藤孝先生が紹介していたので、興味が湧いて読んでみました。何とこの本、既に60万部を超えて売れているそう。Amazonで調べてみたら、「ギフトとしてよく贈られている商品1位」とあり、さもありなん。
自分のような50歳を超えた男性の読者層はあまり多いとは思えず、おそらくは本書に主人公として登場する人物と同じ20歳代~30歳代がマス層でしょう。50歳代の男性視点からは、冒頭の斎藤先生のように、現代婚活事情を社会学的に捉えることができます。一方、20歳代~30歳代の女性の読者の方々は、本書に登場する同年齢層の登場人物の言動にまさに当事者のような感覚で身をもって深く考えさせられる場面が多いうような気がします。
内容に関して、主人公が行方不明になってからの記述や描写があまりにも長く、全然展開していかないので、途中でやめようかなという思いがよぎりました。読み終わってみれば、これらの長い記述や描写は最後に結び付けるための材料になっていることが分かりますが、それでも冗長感は否めずあれだけの分量が必要だったのかと考えてしまいます。
婚活で相手のことを「ピンとこない」というとき、無意識のうちに相手に対してマウントを取っていることになり、これがまさに本書でいうところの「傲慢」に相当するということなのでしょう。本書に登場する結婚相談所の小野里さんは、「現代の日本は、目に見える自分差別はないけれど、一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢です。」と言っています。
女性主人公の真美(まみ)を際立たせるために、その真美とは対照的な女性3人が登場しています。真美の姉で既に結婚している岩間希実、架が真美との交際以前に付き合っていた三井亜優子、そして真美が群馬で婚活していたときの相手の金居智之の現在の妻。これら3人の女性は、濃淡はあれ、妻となる以前に人間として「どう生きたいか」のある程度明確なビジョンを持っている点で共通しています。
真美は、善良的な女性として描かれていますが、人生、ノホホンとしていてはダメなのだということが伝わってきました。特にこれからの時代はまさにその傾向が強まると思います。
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