村上春樹『ノルウェーの森』(講談社、1987年)

書評

高校生のときに読んで以来、実に35年振りくらいの再読でした。文庫本ではなく、赤と緑のハードカバーの本です。当時、大学生になったら、この本のような恋愛をできたらいいなという思いで読んだことを覚えています。

しかし、個々の情景や描写はほとんど覚えておらず、緑が住む大塚の自宅に行って火事を見物したシーンや、直子を京都の山奥の療養所まで訪ねていったシーンは、こんなところがあったかなと思うくらいでした。しかも、性的描写がこんなも多くあったかなと思うほどでした。

50歳を過ぎてから今回再読してそんなに面白いと思わなかったのは、主人公が20歳近辺であり、現在の自分と歳が離れ過ぎているからでしょう。この本は、やはり高校生や大学生のような青春真っ盛りの年代の人たち向けの本ですね。

京都の山奥の療養所で直子と同室のレイコさんに言わせている次の言葉にはとても納得します。

あのね、何も女の子と寝るのがよくないって言ってるんじゃないのよ。あなたがそれでいいんなら、それでいあのよ。だってそれはあなたの人生だもの、あなたが自分で決めればいいのよ。ただ私の言いたいのは、不自然なかたちで自分を擦り減らしちゃいけないっていうことよ。わかる?そういうのってすごくもったいないのよ。19と20歳というのは人格成熟にとってとても大事な時期だし、そういう時期につまらない歪みかたすると、年をとってから辛いのよ。本当よ、これ。だからよく考えてね。直子を大事にしたいと思うなら自分も大事にしなさいね。

幅広に言うと、高校生から大学生までの青春時代の過ごし方がその後の人生を形成することは間違いないと思います。

恥ずかしながら、タイトルの『ノルウェーの森』がビートルズの楽曲であることを今更ながらに知りました。いろいろな曲目が登場していましたが、なぜか次の曲は聴いておきたいため、ここに挙げておきます。
・here comes the sun
・七つの水仙
・ノルウェーの森

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