面白かったです。現役の政治家のみならず、これから政治家を目指す人にとっても、政治とはどんなものであるのか知るために必読の書だと思います。特に行政を動かし、いかに自分の理念や政策方針を実現させるべきか、それには組織的に対応していかなければいけないことが官邸の描写から伝わってきます。
もっとも興味深かったのは、G7サミットや大国首脳との会談の場面の振り返りです。米国のオバマ、トランプ、ロシアのプーチン、ドイツのメルケル、イギリスのメイ、フランスのオランドらとの会談で、これまでに公にされてこなかったようなことが詳らかにされており、なかなか面白いです。これら振り返りに接して感じるのは、一国のリーダーがG7サミットのような多人数の場で堂々と議論するのには、当たり前ではありますが、さまざまなこと、特に一定レベルの歴史的知識は必須であるということです。
第二次安倍政権発足前の民主党政権時代、経済は低迷していましたが、アベノミクスにより少なくとも民主党政権時代よりも好転したことは確かです。ちょうど、私の運用資産もプラ転したことを覚えています。このような経済復興の功績はもっと評価されてしかるべきだと考えます。
森友学園問題については、率直に語っています。これを信じれば、安倍元首相やその夫人に帰責性はなく、ひとえに財務省の官僚にその責任を帰するのが妥当ではないでしょうか。
アベガーの人でも、嫌いのままでもいいので、一度でも読んでみてはいいかと思います。読み終わってやっぱり嫌いでも、その嫌いな理由がより明確になると思います。許しがたいのは、マスメディアの情報のままにアベガーになっている人たちです。安倍政権下で行われた政策や施策について、個々には賛成や反対があるかもしれませんが、私は総じて賛成的立場です。貢献度がもっとも大きかったと言えるのは、長期政権下で日本の国益を戦略的に高められたことです。短命政権なら日本国に対する信頼自体を勝ち取れません。
安倍元首相に唯一、不可解に感じることは、外交の場面で主要国の指導者に中国の覇権ぶりや現状変更の海洋進出、軍備増強を説いて回った一方で、親中の二階氏を重用したことです。もちろん、同氏の政治的手腕や実力に支えられたからこそ、長期政権が実現したことが現実のようです。しかし、二階氏の親中ぶりにもどかしさを感じることはなかったのだろうか、ということです。二階氏の親中ぶりに目を瞑っても、自らの総裁任期延長論の一番槍を投げてくれた党の政務の実力者として信頼していた、ということなのでしょうか。実際は、こんな単純化した構図で割り切れるものではありませんが、一般人の立場からはそこを感じずにはいられません。
コメント