久留島龍夫と軍事研究グループ『第三次世界大戦 日本篇 ソ連軍日本上陸!』(二見書房、1979)

書評

40年以上も前に出版された本。自宅に保存してあった。当時は米ソ冷戦下の真っただ中。日本にとって、ソ連は直接の脅威であった。日本海から新潟を通って首都圏に攻め込んでくる進撃の作戦が語られている。

次の文章をメモしておきたい。
p.142「歴史はつねに、想像力の欠如した者に災いをもたらすことになる。」これは、よく言われていることである。これをすればこういうことになるという想像力は、通常の人ならできるはずである。しかし、冷静さを喪失して熱狂が優ると、想像力を抱けなくなるのだろう。

p.234「戦時中の食糧難とひもじさを知っている世代の目は、食糧確保のため血まなこであった。非常のとき、人間は理性よりも本能で動くものだとういことを、このときほどたがいに思い知らされたことはなかった。きのうまでの隣人は、少しでも多くの食糧を確保するための競争相手となり、信頼する友人も、こと食糧に関するかぎり秘密主義者となった。」これも真実を突いている。人生において、一度は、ひもじさを経験しておくことの大切さを説いているとも思う。上記のことは、ある意味、人間の本能とも言えるだろう。自分の生存のために必然的に生じる欲(食欲)を最低限でも満たそうとするには、いくら親しい間柄でも、黙りとおす必要があることを言っていると考えられる。

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