三浦綾子『塩狩峠』(新潮社、1973)

書評

よかった。

キリスト教が「ヤソ」と呼ばれ、ある意味日本でバカにされていた時代に、次第に好きになっていった「ふじ子」を通してその教えに開眼して信仰を強くした主人公の生き様は素晴らしい。

実話をもとに書き起こされたものだが、「あとがき」によれば実話の人物は小説の中の「永野信男」よりも人間度が深いとのことである。明治の時代にそういう人物がいたことはもっと知られてよいと思う。「あとがき」に書いてあったことのうち、自殺しようと思う人に薦めると書いてあったが、まさにそのとおりだと思う。子供たちにも薦めたい。また、『氷点』よりも売れたそうであるが、意外であった。

キリスト教のことにこれだけ深く接したのは初めてかもしれない。

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