イギリス人について、伝統と格式を有し、近代世界に対して支配権を確立してきた国の国民であるとして、敬意を払うべき対象であると、漠然とまた無信奉に思ってきたが、こうした考えを覆させる本であった。イギリス人女兵士が捕虜となった日本人を人間ではなく家畜同然に扱う姿は、東洋人に対するイギリス人の絶対的な優越感に基づくものであることが分かる。
収容所宿舎で夜な夜なビルマ女を相手にしているイギリス人所長補佐が、イギリス人嫌いのビルマ人の憎悪の的になり、ビルマ人に襲撃されるようになった。その護衛に日本兵を使うようになった。
イギリス人をはじめとするヨーロッパ人は、伝統的に肉食人種であるので、家畜が屠される行為はごく自然のことであると考えているのに対して、筆者は対比的に日本人はそうしたことに慣れていないと見立てている。ビルマ人が食用に牛を屠し、骨と皮を除いて、内臓や血まで徹底的に活用する描写は読み応えがあった。
イギリス人にしてみれば日本兵は家畜同然の護衛であるため、その行為がなされる空間に家畜がいてもまったく気にしない。この護衛の任務にあたった筆者は、「イギリス人を全部この地上から消してしまったら、世界中がどんなにすっきりするだろう」と思った。
イギリス人を含む西洋人が東洋人に持ってきた優越感は何に基づいているのか?東洋人よりも早くから文明的であり、産業を興し、政治制度を確立し、また容姿にも優れているからなのか?本書では、イギリス人が東洋人に対して元来的に有する優越意識に、日本兵を捕虜に取って勝ったという戦勝意識が倍加されて、イギリス人が日本兵捕虜を家畜同然に扱う姿が描かれている。 西洋人の東洋人に対する差別意識は、だんだんなくなってきているのではないかとは思う。しかし、BBCの報道姿勢には、その優越意識の片鱗を垣間見ることができるときがある。
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