約20年も前の本である。読むことにしたきっかけは、堤未果『株式会社アメリカの日本解体計画』を読み、日本のビジネス関係の法律改正に、米国からの「年次改革要望書」による要望が色濃く反映されてきた歴史があることを知ったからである。年次改革要望書自体は、2009年に自民党から民主党に政権交代があったときの鳩山内閣時代に廃止されていたことが分かった。今では、米国通商代表部(USTR)が毎春、「外国貿易障壁報告書(National Trade Estimate Report)を発行しており、これの中に包含されている。米国が日本の経済に将来的に突き付けてくる課題が何かは、これを読み解くことによってわかることになる。
1980年代、日本企業がコロンビア映画やロックフェラー・センターを買収したことが米国民の不評を買った。もともとは、巨額の対日貿易赤字を是正するためにプラザ合意により円高誘導が図られ、日本企業の購買力が高まった結果であった。
著者による次の記述は言い当てている。
輸出で黒字を稼ぎまくる日本を円高によって懲罰するためにアメリカ政府自身が立案した戦略だった。アメリカは、自分が蒔いた種で将来「母親を売る」はめになるとは思いもよらかなったのだろうか。イラクと叩くために自らイラクに軍事支援しておきながら、イラクが強くなり過ぎたことに気づくと慌てて戦争を仕掛けて潰しにかかる。あとさきのことを考えずに短絡的な行動に出ては将来に禍根を残す愚行を繰り返すのが、この国の習い性のようだ。
上記と同じようなことが『PRESIDENT』(2021/6/18号)の大前研一「大前研一の日本のカラクリ」にあった。すなわち、
- 「アメリカは歴史的に見て、態度を急変する癖があるのだ。」
- 「アメリカという国は、自由、平等、民主という崇高な理念の伝道師のような顔をしてやってきても、それが本当に根付くまで責任を持たないどころか、場合によっては自分たちの都合で、その理念を曲げてしまうことさえ躊躇しないのだ。」
この2か月あまり、米国関連の本を読んで思うのは、米国という国が独善的、節操がない、金(資本)に強欲である、ということである。
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