石井妙子『女帝 小池百合子』(文藝春秋、2020)

書評

小池百合子という人間の生き方を知ることができた。

有権者が政治家に求める基本的期待の一つに、その人が世の為、人の為という利他心に基づいて働いてくれるかどうかがあるのは間違いない。そんな世人の期待を欺き、この人は常に自分が一番でありたいという利己心の発露の場として、政治を使っているに過ぎないのではないかと思えてくる。自分が一番になるためなら、平気で嘘も付く。

人は「見た目が9割」とは言うけれど、政治家とか統治者をそんな外見とかマスコミによる外聞で選んではいけないことがよくよく分かる。

以下、メモしておくべきと思った本文からの引用。

  • p.168「社会的な地位の高い人にすり寄っていくイメージがありますが、最後はそういう人を足蹴にする。」
  • p.208「小池さんには別に政治家として、やりたいことはなくて、ただ政治家がやりたいんだと思う。そのためにはどうしたらいいかを一番に考えている。だから常に権力者と組む。よく計算高いと批判されるけれど、計算というより天性のカンで動くんだと思う。それが、したたか、と人には映るけれど、周りになんと言われようと彼女は上り詰めようとする」
  • p.210「専門的な知識はないし、彼女自身の政治哲学や政治信条などもないようです。彼女はただ注目を浴びていたいだけです。」
  • p.232「彼女は常に勢いのあるものに付く。落ち目のもの、弱いものは、初めから目に入らない。」
  • p.245「権力者に取り入るのがうまいし、マスコミの扱いに慣れている。テレビが政治をつくる時代になった。マスコミが本質を伝えず、表面的な面白さだけを追求する。政治家に政策を語らせない。」
  • p.362「安倍さんは周囲に『あのすり寄り方すごいよね』と言っていた」

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