佐藤優さんが週刊誌で紹介していた内容に興味が湧き読みました。イギリスの公文書館に保存されている歴史的文書をもとに、よく調べられています。書かれていることは、もっともっと、日本国民に知られるべきです。
特に第5章(「ヤルタ密約」をつかんだ日本人情報士官の戦い)と第7章(千島列島は「引き渡される」としたスターリンの深謀遠慮)は、読み応えがありました。
第5章で登場する小野寺信情報士官は、スウェーデンに派遣されていた陸軍軍人で、ストックホルムを中心として諜報活動を行っていました。ヤルタ密約に基づく、ドイツ降伏後3か月以内のソ連対日参戦という第一級の情報をポーランド人から入手して本国に送っていたにもかかわらず、これが生かされることはなかったという史実があります。
スウェーデンのストックホルムで、この小野寺信情報士官による第一級の諜報活動が行われていたということを知り、司馬遼太郎『坂の上の雲』で登場する明石元二郎大佐を思い出しました。明石大佐は、同じ国の同じ地で、日露戦争を有利に展開させる諜報情報を本国に送っていた軍人です。
YouTubeで小野寺信をキーワード検索したところ、1985年にNHK特集で放映されていた「 「日米開戦不可ナリ」 ―ストックホルム小野寺大佐発至急電―」があり、これも「映像の世紀」並みに見応えがありました。
この種の本を読むと、つくづく、政治家は歴史を学ぶ必要があると考えます。
コメント