青山透子『日航123便 墜落の新事実:目撃証言から真相に迫る』(河出書房新社、2020)

書評

経済評論家の森永卓郎氏が、経済とは直接に関係のない日航123便墜落事故を取り上げた本書にコメントを載せている新聞広告を見て以来、ずっと気になっていた。アマゾンでは、4つ星以上の評価、900以上のレビューがついていてどんなものかと、ずっと思っていた本であった。結論、インパクトのある本であり、十分に響いた。

自衛隊の訓練用ミサイルと、123便の墜落が関係しているのではないかという、著者の推定は、丹念な取材により収集してきた証言や記録から導き出されている。この関係が真実ならば、これは国家機密モノだろう。ボーイング社の圧力隔壁の修理ミスがあったとして、同社に責任を負わす密約を結び、代わりに日本航空はずっとボーイング社製航空機を使用し続けることになったというのは、森永卓郎氏の見立てである。全日空社がボーイング社製航空機のみならず、エアバス社のA380を利用して、一社のみの調達先に限定していない点で、日航社と対照的である。

本文記述によると、日航会社側は、墜落機で機内録音された資料を今でも開示していないという。

2010年に日航社は一度経営破綻をしたが、国の財政資金が投入された。これは、国側にとっては、日航社が守秘してきた上記のような資料が破綻によって市中に流出するような事態となることを回避しなければいけないということもあったのではないか。税金という財政資金を投入された日航社は、国とも永遠の秘密の保持のためのお金を投入されたともいえる。これにより日航社は遺族はもとより、国民に対しても十字架を背負う形となったのではないか。

ちなみに、森永卓郎氏は、2013年に成立した特定秘密保持法の制定目的が本書の著者、青山氏が推定する原因を永遠に隠蔽するためではないかとコメントしている。

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