藤原正彦『日本人の誇り』(文春新書、2011年)

書評

ブックオフの100円コーナーに置いてあった本。パラパラ読んでみたら、何やらとても大切なことが書かれていそうだったので、買って読んでみた。

本のタイトルだけからすれば、この本が近現代史を取り扱っているとは想像できないが、実際は大半がその内容である。近現代史は今の時代に直接に結び付いているだけに、今の時代を生きる人間がその近現代を知ることはとても重要なことである。

著者は、満州国で生まれ、米国留学経験もある国際感覚の持ち主である。本職は数学者であるのに、歴史学者なのではないかと抱かせるほど、歴史に対する知識が豊富で、国際感覚に基づく洞察力もある。

連合国軍総司令部(GHQ)が占領下で展開した「罪意識扶植計画(WGIP)」により洗脳を受けた一部のマスコミは、時に今でも平気で事実を歪曲して報道している。この本は、そのような策略的な報道を無批判に信じるような日本人を覚醒させてくれる要素があるだろう。

蒋介石の妻・宋美齢の話しが登場する。これまで宋美齢についてあまり知らなかったが、興味心からいろいろ調べてみたら、権力者に擦り寄る小池百合子、現東京都知事時に性格的に似ているのではないかと思えてきた。

著者は最終章で、日本人が祖国への誇りを取り戻すための具体的な道筋の一つとして、「アメリカに押し付けられた、日本弱体化のための憲法を廃棄し、新たに、日本人の、日本人による日本人のための憲法を作り上げること」だと述べている。大賛成である。

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