百田尚樹、有本香『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』(産経新聞出版、2018年)

書評

次は、p.249からの引用である。

「日本国憲法の草案は、GHQのわずか二十数人のメンバーが1週間程度でつくりました。憲法学者の西修先生(駒澤大学名誉教授)が、1980年代にアメリカに行って、その当時、存命だった起草者8人に話を聞いているんですよ。すると彼らから「君らはまだあれを使っているのか」と逆に驚かれたと。彼らは憲法は改正されたと思っていたのです。つまり、日本国憲法の草案を作った彼ら自身が、暫定的なものだと考えていたのです。それは当たり前のことで、憲法の素人たちが1週間で作った憲法を、その後30年以上も改正せずに使っているというのは異常なことだと思ったのも無理はありません。」

時代の変化に合わせて憲法は改正した方がよい。憲法改正に反対を唱える人たちの中には、なぜ反対なのかを説明できず、反対勢力の勢いにただ乗っている人たちもいるように感じられる。

表現の仕方はいろいろあるが、アメリカに押し付けられた憲法であることすら知らない人もいるだろう。そのアメリカ自身、日本に押し付けた憲法が中国の覇権に対抗しようとしても制約を産む構図になっていることに歯がゆさを感じているはずであり、皮肉である。

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