発売直後にAmazonの本の売れ筋ランキングで第1位になった作品。私は前々から、発売日を知っていたので、会社帰りに購入し、一気読みした。著者本人は、本の帯に逮捕されるかもしれないと書いているが、逮捕容疑は刑法の内乱罪あたりになるだろうか。
第1章 ジャーニーズ事務所の件について、私は、中田敦彦が自らのYouTube大学でイギリスBBCで本件が取り上げられことを説明し始め、とても深刻に話していたのを聞いてから知るようになった。性加害に関する噂は、それまでもゴシップネタで取り上げられてはいたようだが、正直あまり知らなかった。というより、関心が湧かなかった。森卓さんの今回の本を読んで詳しく知ることになった。ジャーニー喜多川氏の性加害を巡る裁判が最高裁まで争われたものの、棄却されて2003年7月の東京高裁判決で確定していたことさえ知らなかった。世間を騒がせるほどの大問題にならなかったのは、まさにこの第1章に書いてあるとおり、マスコミが忖度したからに他ならないと思う。
第2章 ザイム真理教のことについては、昨年出版された同名の本を既に読んでいたので、森卓さんの言いたいことは理解しているつもり。
第3章 日航機墜落事故のことを書いている。この第3章の内容は、もっともっと多くの国民に知ってほしい。フライトレコーダーの開示請求を拒否した理由が、遺族が和解金に同意していっさいの請求権を放棄したのだから、フライトレーダーの開示に応じられないとする論理は、法手続き上は確かにそのとおりなのだろう。しかし、その法手続き論から離れて何が真実であったのかということを追究する手助けを果たすのが裁判所に期待される正義なのではないかと思う。死刑囚の再審請求で無罪となった例があるように、本件開示請求についても闇に葬られることなく、仮に今後再度の開示請求があったときには開示されることを願う。または、裁判でダメならば、類例が異なるが、血液製剤を巡るエイズ訴訟で厚生省にあるはずがないと言われていた書類を旧民主党の菅直人厚生大臣(当時)が厚生官僚から引き出させた事例があるように、国土交通大臣が思い切った監督措置で日航にフライトレコーダーの内容開示させることはできないだろうか。
森卓さんの見立てどおりなら、国家は不都合な真実に嘘をつくということを感じた。青山透子さんや森卓さんの推測どおりなら、墜落原因は陸自の練習ミサイルが123便に当たった、ということにたる。中曽根政権は、こんなことを公にしたくない。だから、この不都合な事実を隠す必要がある。これが最初の嘘だとすれは、後々のことも糊塗していく必要がある。墜落地点は、レーダー追跡からすぐにでも分かると素人感覚で感じるが、長野県内と発表して時間稼ぎが図られた。事故調査報告書にしても、事故原因を米国ボーイング社の修理ミスに帰責させたことが挙げられる(ボ社は嫌疑不十分で不起訴。有耶無耶にされたのである。)。米国政府は、民間のボ社の修理ミスに事故原因があるとすることを受け入れる代わり、1986年の日米半導体協定により日本に不平等を押し付けることになる。ここらあたりからが、私が考える第二の敗戦の始まりである。さらに、日米貿易不均衡に業を煮やした米国政府は、1989年から日米構造協議を仕掛け、続いて2001年から対日改善要望書を提出した。これらは、特に対米関係に限ってのごく限られたモノであるが、日本にとって米国は日常的に大きな存在であるだけに、日本国内への影響は大きく働く。そうこうしているうちに、日本は米国の属国となり、日本国としての主権喪失に繋がっていく。当時の中曽根首相が国のトップとして本件事故に大なり小なりの関与をしていたことは間違いないだろう。仮にも、中曽根元首相の大きな関与があったとしたら、そんなことは絶対的秘密である。もし明らかにされたら、1985年以来の歴史をひっくり返り返す必要が生じて、そんなことはできるはずがない。だから、永遠の秘密となる。
第4章 1985年の日航機墜落事故とプラザ合意に始まり、1990年の日米構造協議終結と日銀公定歩合の6%への引上げまでの約6年間は、まさにバブル経済華やかりし頃の時代である。著者の書きぶりに沿ってこの時代を思い返してみれば、この時代の各種出来事が失われた30年を経て今の日本につながっているのだなと感じる。
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