市川寛『検事失格』(毎日新聞社、2012年)

書評

図書館の中をぶらぶら歩きながら、背表紙のタイトルになんとなく引かれて借りた本です。単行本として買うと、約3,000円もします。しかし、実際に読んでみると、その値段の分だけの価値はあります。検察が自ら冤罪を作り出していることを暴露しているようなものだからです。検察組織内で日常茶飯事と化している不条理を描いたノンフィクション・ドキュメントといえます。

ピラミッド組織に属する一員なら多かれ少なかれ感じたことがあるかもしれない不条理も、正義を追求するはずの検察でそこまで行われてきていたのか、ということを知ることになります。

競争の世界で、メンツにこだわり続けたり、常勝でいようとするためには、相当に無理もし続けなければいけないことがあり、仮にそれが不正のもとに行われていて明らかになった場合には取り返しのつかない事態にまで発展することもあるのだなということまで、考えが巡ってきます。

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