山本康正『2025年を制覇する破壊的企業』(SB新書、2020年)

書評

著者は、先進テクノロジーに関する評論などで露出の多い方。本の内容は、テクノロジーを発展させ、躍進を続ける企業11社を取り上げて紹介しています。登場する11社に共通していると思えたのは、変わり身が早い、ということです。ダメ元でチャレンジするも成功したらそれを拡大させる一方、成功しそうになかったら潔く撤退する経営が行われている企業が多いです。伝統を重んじる純粋な日本企業なら、ほぼしなさうな経営です。

11社の中にはGAFAMが含まれていますが、私が気に留めたのは、代替肉を製造している米国のベンチャー、インポッシブル・フーズ社です。なぜ気に留めたのか、それは将来の成長性がどうなるのか、とても気になるからです。米国では、日本以上にベジタリアンやビーガンがとても多く、この代替肉が彼らの購買対象になっているということ、また牛や豚などが殺されて目の前にそれらの肉が用意されることに抵抗を感じている人が多いという事情から、発売当初はかなりの人気を博したようです。その意味で、ゲーム・チェンジャーの要素があることを意味します。しかし、今後、どれぐらいの人々がこの代替肉を好んで食べ続けていくか、そこがもっとも注目どころです。インポッシブル・フーズは非公開会社ですが、同じ代替肉製造会社でNASDAQに上場しているビヨンド・ミートの株価推移や財務状況から確認していきます。

まず、現在のビヨンド・ミート社の株価は、$13.54(2023年4月28日終値)であり、日本円で約2,000円もあれば1株から購入可能です。同社株価が最高値を付けたのは、2019年7月の$239.7。現在はその高値から10分の1にも満たない株価です。次に財務状況について、売上げは毎年一定の確保をしているようですが、最終黒字になったことは一度もありません。たぶん、このような財務状況が今の株価に反映されているのだと思います。

代替肉と一口に言ってもいろいろなものがあり、毎年新製品が出ているようなので、今後画期的な代替食品が発売されれば、また飛躍する可能性は十分にありますが、今の株価推移や財務状況からすればきわめて不透明と言わざるを得ません。2,000円程度で購入可能なら、1株だけでもホールドしておいてもいいかなと考えてはいます。

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